スチールベルトの搬送面を粗くする

スチールベルトのディムコ、海外部の並木です。

先週の皆既月食はいかがでしたか?
その翌朝、6時ごろまで月は何事もなかったかのように輝いていて、騒いだのは地球人だけだったのでしょうか。

さて本日は、「ワークを保持するくらいザラついた面がほしい」というお問合せについてです。

スチールベルトは滑らかな搬送面を特徴としていますが、
粗い搬送面にするには、主に4つの方法があります。
1. エッチングのように、化学的に表面をランダムに削る
2. ブラストのように、小さな粒をぶつけて物理的に凹凸をつくる
3. 研磨パッドをつけたアクションサンダーで、平滑面をワザとザラつかせる
4. フッ素樹脂等をステンレスに塗膜して、凹凸表面をつくる

これらの加工方法を過去に一度試したことがありますので紹介します。
その時の試料は、ステンレスベルトの代表的な材質と厚みであるSUS304H (スチールベルト用のバネ材)、厚み0.2mmのA4サイズの板です。

どのくらい粗くなったでしょうか?
a. 表面加工なし Ra(※1) 0.0375
b. エッチング 30-60秒程度 Ra 0.3~0.69
c. ブラスト Ra 0.2 表面だけメディアがぶつかり、板の平坦性がなくなる場合がある
d. フッ素樹脂塗膜 Ra 3.46~5.3
(このとき、アクションサンダーによる下地処理は実施しませんでした)

拡大写真-a.表面加工なし-Ra0.0375
拡大写真 a.表面加工なし Ra 0.0375

拡大写真-d.フッ素樹脂塗膜-Ra3.46~5.3
拡大写真 d.フッ素樹脂塗膜 Ra 3.46~5.3

実際には、スチールベルトの材質と寸法により最適な方法を検討します。どの方法であっても、仕上がりの表面粗さやスチールベルト全体の平坦度を確約することは難しいですが、試作を繰り返し行い、「…分間エッチング」など、加工条件をお客様と設定するようにしています。

多様な現場に合わせて個別の提案をするのが、ディムコの強みですので、お気軽にお問合せください。
※1 Raとは算術平均粗さをいう。この数値が低ければ低いほど表面は平らで滑らかである。

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