1.”スチールベルト”って何?

スチールベルトとは金属のベルトのことで、スチール(steel・鋼)を素材とするベルトです。

おもな材質としてステンレスを使用しているため「錆びにくく・強靭で・伸びにくい」という特徴を持つベルトです。その材質からステンレスベルトやステンレススチールベルト、SUSベルト(サスベルト)とも呼ばれています。また、大きなくくりとして金属ベルト(メタルベルト)と呼ばれることもあります。

スチールとステンレス

2.ステンレスの特性

ひとえにステンレスといってもその種類は数多く、異なる特性を有しています。
例えば「磁性」や「バネ特性」の違いです。 

ステンレス材には一般的に、磁性の強い鋼種と弱い鋼種あります。
例えばオイルスキマー用ベルトとして用いる場合、磁性を利用して回転させるため磁性の強い鋼種であるSUS632J1・SUS631を選択する事が多いです。
※ただし非磁性体の材質でも、成分含有率や加工による組織変化によって磁性を帯びるものもあります。

また、バネ特性については、
オープン形状のベルトやエンドレス形状のベルトではSUS304-CSPが最もよく利用されていますが、その呼び名はバネ特性の低い順にO(オー)材(またはなまし材)、1/2H材、3/4H材、H材(4/4Hまたはフルハード材)となります。

スチールベルトの使用には用途や目的に適したバネ特性の素材を選定しております。

3.スチールベルトの主な用途

スチールベルトの主な用途は「搬送用」と「動力の伝達用(駆動用)」の2つです。
「搬送用」には両端を溶接したエンドレス状のベルトを使用し、「動力の伝達用(駆動用)」には平らな板状(オープン)ベルトやシームレス化されたエンドレス状のベルトが用いられます。他にも、薄く頑丈であるという特性を活かして保護用のカバーとして使用することもあります。
※「シームレス化されたエンドレス状のベルトって何・・・?」と気になった方がいらっしゃるかもしれませんが、このシームレス化はエンドレス溶接部の接合段差をフラットにすることを指しています。溶接部段差を嫌う滑らかな送り・精密な送りを要する駆動にご使用頂いております。ディムコでは全周圧延スチールエンドレスベルト(DRタイプ)と呼んでいます。製造方法や特徴などの詳細はリンク先をご参照ください。

用途によっては、ベルトに追加工を行います。
以下はよくある加工例です。

  • 溶接:両端を溶接してエンドレス状に加工、オープン状の両端にブラケット(補強板)を溶接して強度向上に
  • 穴開け加工:治具の固定や搬送時の位置決めに使用/吸引・吸着搬送など、用途によってはベルト全周に穴開け加工
  • 表面加工:フッ素樹脂コーティング加工、鏡面研磨、梨地処理(表面に細かい凹凸をつける処理)など

4.スチールベルトの主な特徴

幅広い環境対応

クリーンルーム内・真空・高温/冷凍などの特殊環境
発塵・帯電を嫌う搬送(クリーンルーム・真空) / 静電気によるホコリや搬送物付着への対策

高耐久性

剛性が高く高寿命。また、ベルト使用に伴う摩耗が少ない耐摩耗性
バリ付き金属ワークの搬送

伸縮極小

ベルトの伸びが少なく駆動に対し高い応答性が得られる
高精度で送りムラ(ガタつきや振動など)の無い動力伝達を実現

耐性

耐久性・耐食性・耐洗浄薬品性に優れる

洗浄容易性

耐洗浄薬品性に優れ、洗浄・殺菌の際に高温水やアルカリ薬品を使用しても萎縮や劣化が起こらない
ステンレス素材のためベルト生地に生菌が侵入せずベルトに菌が残らないので、食品搬送に最適

5.スチールベルトの用途例

「搬送用」と「動力の伝達用(駆動用)」の大きく2用途に分け、用途例を記載します。

搬送用・・・形状:輪っか状(エンドレス)

用途例 このような場面に
食品搬送 食品直載せ搬送
位置決め・間欠搬送 画像検査搬送、連続組立工程
吸引・吸着搬送 ワークが飛ばされないように吸着して高速搬送
裏面(下面)吸引・吸着搬送
薄いワークの反りやシワを抑えつつ搬送・画像検査(フィルムや紙など)
ダブルベルトプレス搬送 加熱・加圧維持(または冷却)搬送
樹脂フィルム・シートなどの加熱・圧延加工
多層シートのラミネート加工(貼り合わせる)

動力伝達(駆動用)・・・形状:平板状(オープン)、輪っか状(エンドレス※シームレスタイプ)

用途例 このような場面に
駆動(往復) スカラロボット(水平多関節ロボット)のアームの動力伝達用ベルトとして
駆動(連続) 光学・医療機器内の精密駆動
昇降 物流倉庫内の昇降・巻き取り用ベルト
番外編 : 保護カバー ケーブル露出箇所の保護、アクチュエータ・ロッドレスシリンダー用カバー
コンベックス(金属テープの湾曲加工)をケーブルベアとして

まとめ

ひとえに「スチールベルト」といっても、
その形状(エンドレス状/板状)や穴開き有無(無/一部穴開き/全周穴開き)、表面加工有無によって多彩な活用方法があります。

本ページで紹介した用途は一例であり、多種多様な形状・用途にてスチールベルトは活躍しています。

 

スチールベルトを試してみたい!用途・寸法で試作できるか相談したい!という方はお問い合わせください。

 

ディムコの製品情報へのリンクです。
 製品情報(製品一覧)ページへのリンク

スチールベルトの活用事例として、5事例をまんが形式で掲載しています。
 

お見積もりからご質問までサポート!お気軽にお問い合わせください

0120-346-353

9:00~17:00(平日)携帯電話からの通話OK(IP電話からはご利用になれません)
上記以外は代表番号へお願いします。(045-352-7888)

お問い合わせはこちら