スチールベルト全般、商品、装置などでよくいただく質問に回答いたします
1.スチールベルト全般
- (1)スチールベルトはどのようなところに使用されますか
-
精密な動力伝達、ロボットなどの駆動用、クリーンルーム内、真空内の搬送、食品搬送、加熱・乾燥搬送などに使用されています。
- (2)スチールベルトの材質は何ですか
-
ステンレスです。主にSUS304、SUS301、SUS631、SUS632J1などです。SPCCなどは使用しません。
- (3)スチールベルトは錆びませんか
-
スチールベルトの材質はSUS304などのステンレスです。通常の使用環境であれば錆びることはありません。
- (4)スチールベルトは金属なのに、曲げても折れたり曲がったりしませんか
-
針金のような金属は手で曲げると簡単に曲がります。この金属も、曲げるところをハンマーなどで叩くとその部分は曲がりにくくなります。スチールベルトも同様に、帯状のステンレス板を金属ロールで押しつぶし、圧延することにより固く、剛性が高くなります。このように作られたものはバネ材と称します。スチールベルトはこのようなバネ材を使用していますので多少きつい曲げでも元に戻ります。
- (5)スチールベルトは滑りませんか
-
スチールベルトが金属なので滑ると思いがちですが、適度な張力を加えれば滑らなくなります。
- (6)スチールベルトの厚み、幅などの製作範囲はどのくらいですか
-
厚さ0.04~1.2mm、幅2~1500mmまで対応しています。組み合わせでできないものもあります。詳細はこちら。
- (7)スチールベルトの表面はどのような仕上げですか
-
スチールベルトの種類により異なります。
DRタイプ:2D(ツーディー)で、一般にダル仕上げと称しています。表面はつやのない鈍い灰色です。
DWタイプ:2B(ツービー)で、かるい光沢があります。溶接部はつやのない鈍い灰色です。
DOタイプ:2B(ツービー)で、かるい光沢があります。
DPタイプ:2B(ツービー)で、かるい光沢があります。溶接部はつやのない鈍い灰色です。 - (8)スチールベルトの耐久性はどのくらいですか
-
スチールベルトは曲げの回数により寿命が決まります。一般的には、モータ側の駆動プーリがスチールベルトを介して従動プーリを回転させます。この時、スチールベルトはプーリにより大きな曲げの応力を受けます。この駆動、従動の2個のプーリにより曲げられたスチールベルトの曲げ回数が1000万回をクリアすることを一つの設計の目安にしています。従って2軸2プーリのレイアウトですとベルトの周回数は500万回となります。しかし、外部からの負荷が無い無負荷試験評価で算定していますので、ご使用の用途、負荷、環境などの条件により大きく違いがでるためご検討時はご相談ください。
- (9)スチールベルトのエンドレスはどのようにしていますか
-
両端のエッジの厚み同士で突き合わせ溶接をしています。溶接棒、溶加棒を使用せず、母材のみで溶融接合しますので段差がありません。
- (10)スチールベルトの表面にはどのような加工ができますか
-
フッ素樹脂コーティング、黒色処理、鏡面(ミラー)処理、梨地処理などがあります。
- (11)スチールベルトの交換って難しくないですか
-
ゴム、樹脂ベルトと同じとお考え下さい。大きなもの、長いもの、エンドレス状態での交換が不可能な所は現場でのエンドレス加工も可能です。
- (12)プーリ径はどのくらいまで小さいものが使えますか
-
プーリ径は、動力伝達では16mm、搬送系では30mmです。この場合、スチールベルトは薄くなりますのでご検討の場合はご相談ください。
- (13)蛇行防止方法にはどのような方法がありますか
-
クラウン、Vガイド、EPC蛇行防止装置があります。詳細はこちら。
3.吸引・吸着コンベヤ
- (1)吸引・吸着コンベヤとはなんですか
-
吸引・吸着コンベヤとは吸着、吸引して平面性、平坦性を求める搬送に使用するコンベヤ装置です。
- (2)構造、特徴はどのようになりますか
-
スチールベルトには微細な穴が開けられています。そしてスチールベルトの内側から穴の開けられた受け板を通して吸引します。するとスチールベルトは平坦になり、スチールベルトの上に載っているワークも吸引されて平坦になって搬送されます。高速で搬送したり、傾斜搬送も可能です。
- (3)どのような用途に使用しますか
-
スチールベルト上で連続印刷、画像検査、金属泊・フィルムなどを引くテンション搬送など。
- (4)納入実績、実績寸法はどのくらいですか
-
インクジェット高速印刷のワーク搬送、テンション搬送、画像検査用など多数の納入実績があります。また、幅は150~1200mm、長さは2000mmまであります。
- (5)規格品はありますか
-
標準規格品は無く、お客様の用途に応じた仕様にて受註製作しています。
- (6)装置の仕様はどのように決めますか
-
まずご希望の内容をお電話、メール、FAXなどでお知らせください。その後、できればワークを持参あるいは送って頂きご来社ください。常設の実験機でテストして頂いて仕様を決めさせて頂きます。テスト費用はほとんど無償で行なっています。また、NDAを交わすこともできます。
- (7)見学、実験可能ですか
-
可能です。実験にてほとんど仕様を決めて見積りさせて頂いています。
- (8)納期はどのくらいですか
-
仕様にもよりますが2~4ヶ月になります。
4.ダブルベルトプレスコンベヤ
- (1)ダブルベルトプレスコンベヤとは何ですか
-
ダブルベルトプレスコンベヤは加熱ヒータブロックを内蔵した2台のコンベヤを上下に配置し、上下より加熱、プレス、圧延、成形するものです。
- (2)どのような事が目的のコンベヤですか
-
樹脂フィルム・シートの加熱、圧延加工、多層シートのラミネート、繊維状物と合成樹脂の複合フィルム加工など、加熱する、圧延する、貼り合わせる、成形するなどが連続して行なえます。
- (3)どのような構造ですか
-
コンベヤの内部には温調された加熱ヒータブロックが設置され、そのコンベヤを上下に配置して、上下より加熱、プレスできる構造です。
- (4)最高何℃まで上げられますか
-
通常は250℃です。それ以上の場合はご相談ください。
- (5)最大幅と最大機長はいくつですか
-
最大幅は800mm、機長は軸間距離で3000mmです。それ以上の場合はご相談ください。
- (6)どのような用途向けが多いですか
-
樹脂の加熱後圧延、ラミネート、色の圧延転写、樹脂の加熱成形、粉体の焼結など。
- (7)どのような実績がありますか
-
樹脂加熱成形、樹脂加熱圧延、ラミネートなどがあります。
- (8)デモ機の場合、加圧部の隙間管理はどのようにしていますか。また、隙間精度はどのくらいですか。新規に製作する場合、隙間精度はどの程度になりますか
-
デモ機の場合はすきまゲージにて管理します。精度は5/100程度です。新規に製作する場合は1/100になります。但し、プレスする面積により変わります。
- (9)デモ機はどのようにして加圧していますか。 また、新規で製作する場合は加圧方式にはどのような方式がありますか
-
バネ押し当て方式です。バネの歪により加圧力が調整できます。新規製作の場合はバネ式の他に、電動シリンダ方式、空圧方式、油圧方式があります。いずれも一長一短があります。お客様の用途にあった方式を提案しています。
- (10)デモ機の貸出しはしていますか
-
常設のため原則貸出しはできません。
- (11)加圧力はどの程度まで対応した装置を製作できますか
-
0.5MPaまで製作対応可能です。但し、プレス面積により変わります。
- (12)新規製作時の納期はどのくらいですか
-
仕様にもよりますが、3~4ヶ月になります。
- (13)スチールベルト単品でも販売していますか
-
装置での販売を原則にしています。
5.蛇行防止装置
- (1)蛇行防止とはなんですか
-
スチールベルトが片寄りせず、真っ直ぐ走行するように対策することです。
- (2)EPCとは何ですか
-
蛇行防止装置(Edge Position Control)の略で、蛇行防止を自動で行う装置のことをいいます。
- (3)どのようにして蛇行を防止するのですか
-
スチールベルトのエッジ位置をセンサーにより検知して従動側プーリを左右前後に移動してコントロールします。
- (4)蛇行精度はどのくらいですか
-
左右の振れは2mmの幅です。特殊仕様で1mm以下も可能です。
- (5)エア式のエアは何のために必要ですか
-
エアシリンダの動力源で、プーリを押すために使います。
- (6)エア圧力はどのくらいが必要ですか
-
0.5MPaを標準にしています。それ以下になるとシリンダ径が大きくなります。
- (7)どのくらいのスチールベルトの幅まで使用できますか
-
実績では幅800mmです。
- (8)スチールベルト以外でも使用できますか
-
基本的には使用は可能ですが、注意点が有りますのでご相談ください。
6.オイルスキマー
- (1)オイルスキマーとはなんですか
-
オイルスキマーとは浮上油を回収する装置です。
- (2)装置も販売していますか
-
スチールベルトの単品が主ですが、装置の販売も行なっています。
- (3)ベルト材質は何ですか
-
ステンレスです。腐食しにくい材質です。
- (4)ベルトはスリップしませんか
-
駆動側はマグネットトローラになっています。磁石にくっつくステンレススチールベルトを使用しているのでスリップしません。
- (5)ベルトの交換頻度はどのぐらいですか
-
使用方法にもよりますが、2年から3年です。それ以上でもご使用して頂いています。
- (6)回収出来る油に制約はありますか
-
水に混合したエマルジョン状の油は回収できません。水に浮いた浮上油回収を目的としています。
- (7)樹脂ベルトと比較した場合のメリットは何ですか
-
水、油による劣化やプーリフランジによる耳ほつれも無く、又、スクレーパで確実に掻き取れます。
- (8)樹脂ベルトを使用していた場所で、そのまま使えますか
-
2ローラでテンション機構がある装置には使用可能です。
- (9)どのくらいの高さまで回収可能ですか
-
7mの高さが可能です。おおよそ1階の床面から3階建ての床までになります。
7.エアロール
- (1)エアロールとは何ですか
-
エアロールは、外径部は薄肉金属スリーブであり、その内部に圧縮空気を封止した金属ロールです。金属でありながらゴムロールよりソフトタッチでフレキシブルなニップ加圧が可能です。
- (2)エアロールはどのような種類と仕様がありますか。特注品は可能ですか
-
エア弾性タイプ、温調タイプ、ラバー弾性タイプの3タイプがあります。各タイプ共標準品としては揃えていないので、お客様の仕様に合わせて製作するカスタマイズの受註製作となります。
- (3)エアー漏れはありませんか
-
ゴム製のシール部品を使用しており、そのゴム自身から微量な空気が漏洩するため、長期間においてはエアー漏れが発生します。そのため定期的にエアーを注入する必要があります。また、ロータリージョイントを使用することによりレギュレータにて一定圧のエアー管理がてきますのでそれをお薦めします。
- (4)ニップ幅(接触幅)は何mmくらいとれますか
-
エアロール、対向ロールの直径にも依存しますが、エアー弾性タイプで1~5mm、温調タイプ・ラバー弾性タイプで10~20mmくらいとなります。
- (5)内部圧力はどの位必要ですか
-
安全設計上0.25MPa以下の使用に限られます。ソフトタッチを製品特徴としており、お客様において任意に微調整するすることができます。
- (6)納期はどのくらいですか
-
ご注文を受けてから2~3ヶ月後が目安となります。
8.鏡面スリーブ
- (1)鏡面スリーブとは何ですか
-
鏡面スリーブとはディムコが開発した薄肉ステンレス圧延スリーブ(シームレススリーブ)又は溶接ベルトに鏡面研磨加工を施したスリーブです。
- (2)どのようなところで使用されていますか
-
光学フィルム・機能フィルム成形用、薄膜フィルム表面成形用として使用されています。
- (3)鏡面仕上げはどの様な研磨方法ですか
-
ディムコ独自のラップ研磨およびケミカル研磨等を複合した特殊研磨加工です。
- (4)どのレベルまで鏡面化できますか
-
素材にもよりますがSUS304では0.1s Ra0.01が標準仕上りです。
- (5)研磨後の接合部は残りますか
-
溶接接合部の段差は概ね取り除くことは可能ですが、『への字』となる接合部折れ、曲がりは残る場合がほとんどです。接合部の違和感が一切許容できない場合は薄肉ステンレス圧延スリーブをお薦めします。
- (6)使用中キズが入ってしまった場合、再鏡面加工は可能ですか
-
数ミクロンレベルのキズであれば粗研磨で取り除くことが出来、再生、修復可能です。
- (7)納期はどのくらいですか
-
溶接ベルト加工、研磨加工で2~3カ月が目安となります。