電極として使用するスチールベルト、ピンニング用コロナメタルベルトは何に使う

スチールベルトのディムコ、木曽川です。

10月も中旬に入り、ここ横浜でも平年なら最高気温も23℃なのにまだまだ夏日になる日が現れています。しかし湿度も低く過ごしやすい日々です。ただ紅葉も遅れ、至る所に影響がでてくるでしょう。

さて、ディムコには商品名に「コロナ」という名称がつくスチールベルトがあり、それを製造、販売しています。それはコロナメタルベルトです。


Fig1 ディムコのコロナメタルスチールベルト


ここ3年間、新型コロナウイルスの名称がはびこる中、肩身の狭い思いをしていました。

しかし、数あるスチールベルトの中でも用途がはっきりしているスチールベルトです。
幅は狭く厚みは薄く、しかし他の競合品よりも優れた機能を有しています。

それでは用途をご紹介しましょう。
下の図をご覧ください。
フィルムを製造する方法は多種ありますが、このTダイ法はシンプルなシステムです。
溶融樹脂はTダイの薄い隙間から冷却ロールの全幅に渡って排出されます。それを回転する冷却ロール上で冷却してフィルムにし、次の工程に流していきます。


Fig.2 Tダイと冷却ローラの関係

ここで排出される樹脂液の速さとロールの周速を同期します。しかし、どうしても若干ロールに引っ張られてしまい、ロールへの着地に時間が掛ったり、全幅が同時に着地しなかったりします。
そこでこのコロナメタルベルトが必要となります。
コロナメタルベルトは巻き出しリールと巻き取りリールの間で一直線に高いテンションで張られています。
コロナメタルベルトは極薄の厚さ0.05mmで髪の毛(0.07)よりも薄くエッジは丸み加工していますが、針先の形状です。針先の形状に高電荷を掛けるとコロナ放電が発生して近くのものを帯電させます。
この原理により、コロナメタルベルトにはプラスの電荷、冷却ローラにはマイナスの電荷を掛けると、Fig.2のようにまだ着地していない樹脂液にはプラスの電荷が掛ります。そうすると樹脂液はロールに貼り付こうとする力が掛りロールに早く着地しようとします。
この時に発生する電気的な力を「クーロン力」と言い、その強さは「クーロンの法則」で導かれます。その様子を詳しく示したものが下のFig.3です。


Fig.3 コロナメタルベルトとクーロン力の関係

このコロナメタルベルトは電気を流して使用するもので、厚みも薄く、幅は4~5mmと狭く、長さも100m、200mと長く、金属なのでその用途が生まれました。

これら全体のシステムはピンニング装置と呼ばれています。
放電する金属端は薄ければ薄いほど電圧を下げられる、放電位置が一端に絞られ安定したコロナ放電ができるなどのメリットがあります。
一般的にはタングステンワイヤーなどを使用することが多いのですが、ロール面長が1.5mから2m、あるいはそれ以上の場合、たるみを無くすために高張力に張るため細いと運転中に破断の事故が起こってしまいます。
この点、スチールベルトは極薄の0.05mmですがその分幅を広くすることで最大張力を高められます。

既存のシステムを変更するには多少の設計変更が必要ですが、安定性と高品質を狙われる場合、あるいはロール面長が長いなどでお困りの場合はぜひご相談ください。
リールをご提供頂ければサンプル巻き取り、ご提供をいたします。

ディムコのコロナメタルベルトをぜひご検討ください。
お問い合せはフリーダイヤル0120-346-353です。あるいは各種のお問い合わせ方法があります。

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