スチールベルトの離型性コーティング
いよいよPFASフリー時代へ?
こんにちは。
スチールベルトのディムコ マーケティング営業部のショートスリーパー担当「小鳥遊」です。
突然ですが、最近よく「PFASフリー」という言葉を耳にすることはありませんか?
「別にないけど」という方は話が拗れるので僕が呼ぶまであっちの部屋で正座していてください。
そう、「PFASフリー」よく聞きますよね!
最近はスチールベルトに関するご相談をいただく中で、
「PFASを使用していないコーティングはできないかい?」
という話もちょいちょいいただくようになりました。
MBTIの1つかい?
と、混乱する獣が出てくるのも分かります。
僕もアルファベットが4文字以上並び始めると震えが止まりません。
ただ、このPFAS。
今後のものづくりを考えるうえで無視できないキーワードの一つになっていくかもしれません。
いや、なっていくでしょう。
なので今日はぜひこの機会にPFASを覚えてドヤ顔で帰ってください。
実はディムコでも現在、この
PFASフリーを想定した材料で「スチールベルトに離型性を付与できないか」
というビッグなチャレンジに挑んでいる真っ只中です。
ちなみに離型性とは、「物質が他の物質から簡単に剥がれたり離れたりする特性」のことを言います。
今日は「なぜスチールベルトに離型性のあるコーティングが必要になるのか?」。
そして「なぜ我々ディムコがPFASフリーの可能性を探っているのか?」
少し未来の話も含めてご紹介していきたいと思います!
では参る!!
そもそもPFASって何やねん?
PFASに疑問を持つ小鳥遊
そもそもPFAS(ピーファス)とは、超ざっくり言えば「有機フッ素化合物」という大きなグループを指す言葉です。
有機フッ素化合物とは、炭素とフッ素の結合を持つ化合物で、耐熱性・耐薬品性・撥水性・撥油性などの特性を持つ人工化学物質のことをいいます。
つまりPFASの中には「水や油をはじく」、「熱や薬品に強い」など、
製造業にとっては非常に嬉しい性質を持つものがあり、さまざまな製品や工業用途で使用されてきました。
が、しかし!!
PFASの中には環境中で分解されにくいものがあり、
世界各地で管理や規制の見直しが急速に進められているのが現状です。
要は、「全てではないけどPFASの一部には有毒性のものがあり、それらが分解されずに人や動物へ曝露され続けると健康に有害な影響を及ぼす可能性があるのでそろそろみんなで対策しようじゃん?」っていう流れが世界各国で起きているというわけです。
ちなみにここでいう暴露は「危険物質にさらされる」という意味で、PFASに「秘密をバラされる」という意味ではありません。
しげおの秘密を暴露するPFAS
この記事でいう「PFASフリー」について
「PFASフリー」という言葉の定義や確認方法は、用途・顧客要求・法規制などによって異なる場合があります。
本記事では、具体的な規格適合や「PFASが完全にゼロ」であることを保証する意味ではなく、
PFASを使用しない材料選択を目指す取り組みという意味で使用しています。
世界的にもPFASを見直す動きが進んでいる
前述した通り、PFASを巡っては日本だけでなく海外でも管理や規制について検討が進んでいます。
例えばEU(欧州連合)では、
REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals
=化学物質の登録・評価・認可・制限)と呼ばれる化学物質規制で、
広い範囲のPFASを対象とした制限案が検討されていたりします。
もちろん、
「PFASはすべて今すぐ全面禁止じゃあ!!」
という単純な話ではありません。
用途や代替材料の有無なども含めて議論が進んでいるため、
僕らとしても最新情報を追いながら
「将来どのような要求が出てきても対応の選択肢を持てるようにしておきたい!」
と考えています。
PFASとスチールベルトに何の関係があるのか?
さて、ここまで読むと
じゃが、それとスチールベルトに何の関係があるんじゃ?
という疑問が出てくると思います。
至極真っ当な思考回路です。
実はスチールベルトは、
樹脂フィルムやシートなどを熱で溶着する工程
で使われることがあります。
スチールベルトで対象物を挟み、
熱や圧力を加えながら加工するような使い方ですね。
ところが、ここで一つ問題があります!
樹脂の種類や加工条件にもよるんですが、
なんと加熱された樹脂がスチールベルト表面に付着してしまうことがあるんです!
スチールベルトを加熱したことで樹脂フィルムやシートが付着してしまったイメージ
上の画像は極端な例ですが、一度ベルトに樹脂がくっついてしまえば、製品をきれいに剥がせなかったり、 ベルト表面に凸凹ができてしまったりと、製造現場に影響が出てしまう可能性があるんです。
そこで必要になる「コーティング」
そこで登場するのが、
離型性を付与するためのコーティングです。
「離型性」とは簡単に言うと
「物質が他の物質から簡単に剥はがれたり離れたりする特性」のことでしたよね!
熱溶着では、
対象はしっかりと溶着させたい!
でも、
スチールベルトにはくっついてほしくない!
という、ここだけ聞くとなんともワガママな要求ですが、これを実現させなくてはなりません。
じゃないと製造は進みませんからね!
そのため、使用条件によってはスチールベルト表面にコーティングを施し、
樹脂が剥がれやすい状態をつくる必要性が出てくるということです。
現状の主役は「フッ素樹脂コーティング」
フッ素樹脂コーティングを施した実際のスチールベルト
そんなコーティングに関してですが、我々は現在、スチールベルトと比較的相性の良いフッ素樹脂コーティングを使用しています。
上の写真が実際に使われているフッ素樹脂コーティングを施したスチールベルトですね。
なんかちょっと可愛くないですか?
手首に付けて渋谷とか歩きたいですよね? (勝手に歩いてろ)
しかし、カワイイだけでPFASフリーになるほど甘い世の中ではありません。
ややこしくなってしまいますが、「フッ素を含む=必ずPFAS」というわけではないのですが、現状我々がメインで使っている離型性のあるコーティング材に関しては、残念ながら「PFASフリーだぜ!」とは言えないのです。
つまり可愛いければ全てが許された時代は終焉を迎えたわけですね。
あなたは許せる? 許せない?
そのコーティングもPFASフリーにできないの?
ブログ終盤ですが、ここが今回の本題です!
離型性を得るための材料にはさまざまな選択肢がありますが、
お客様の環境方針や将来の規制を見据えて、
「PFASを使用しない材料で同じようなことはできないか?」
というニーズが出てくる可能性はこれからの時代増えそうですよね。
冒頭でお話しした通り、実際ディムコにも
PFASフリーを意識したコーティングに関する話
が入るようになってきました。
ならばディムコとしても、
これから必要になるかもしれないなら先に動くべし!!
というスタンスで、
「PFASフリーを想定したコーティング材料をスチールベルトへ適用できないか?」
の検討を始めたというわけです!
そんなご報告でした。
まとめ
はい!いかがでしたでしょうか?
今回はPFASフリーという少し難しそうなテーマでしたが、
スチールベルトの製造、販売を生業にしている我々が「なぜPFASフリーのコーティング材を必要としているのか?」の理由も分かっていただけたかと思います。
まとめると、
- PFASをめぐる管理・規制の見直しが国内外で進んでいる
- 熱溶着用途では、樹脂の付着を抑えるためスチールベルトへ離型性が求められることがある
- 将来的には、その離型コーティングにもPFASフリーを求めるニーズが増える可能性がある
- ディムコでも、PFASフリーを想定した材料を使った離型コーティングの可能性を探り始めている
- 可愛ければ全てが許される時代は終わった
というお話でした。
スチールベルトは、使われる環境によって求められる性能が本当にさまざまです。
だからこそ
「こんなこと、スチールベルトでできないかな?」
というテーマが新しい技術につながることもあります。
PFASフリーのコーティングもその一つになるかもしれません!
進展がありましたら、もちろんこのブログで
「あの時書いていたPFASフリーの件、ここまで進みました!」
とご紹介できるよう少しずつチャレンジ続けていきたいと思います。
今回も長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう!ではではー!