2026.06.22
スクレーパーが樹脂ベルトを削る?
異物混入対策で見落とされがちな搬送ベルトの話
どうも!
スチールベルトのディムコ マーケティング営業部の小鳥遊です。
さて、約2週間前になりますが、ある食品会社さんが異物混入による商品の自主回収を行ったというニュースを目にしました。
こういったニュースを見ると
「どこから混入したんだろう?」、「どの工程で発生したんだろう?」、「混入した異物とはなんだろう?」と、ついつい考えてしまいます。
本件は「粉末ソースを投入する設備部品の一部が破損し、商品に合成樹脂片が混入した恐れがある」ということでしたが、一度流通した商品の回収に相当なエネルギーが必要になることは想像に難くありません。
搬送ベルト上の出来事なのかもまだ分かりませんが、今回のブログでは実際にディムコへいただいたご相談をもとに、「異物混入対策として選択されたスチールベルト」についてお話しをしていきたいと思います。
目次
※クリックするとそのセクションに飛びます異物混入は食品業界だけの問題ではない
異物混入というと、先ほどご紹介したニュースのように食品工場や食品メーカーを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、医薬品、電子部品、自動車部品、フィルム、電池材料、精密部品など、
異物混入はあらゆる製造現場において品質不良やクレームにつながる重要な課題となっています。
また異物混入対策というと、金属探知機、X線検査装置、画像検査装置など、 「異物を見つける装置」に注目が集まりがちですが、「そもそも異物を発生させない」という視点を持つことも非常に大切です。
設備由来の異物という考え方
製造設備には、樹脂部品、ゴム部品、パッキン、シール材、ガイド、スクレーパー、
そして搬送ベルトなど、様々な部材が使われます。
これらの部材がすべて危険という話ではありません。
ただし、長期間の使用や摩耗、接触、劣化によって部材の一部が削れたり、剥がれたりする可能性はあります。
そのため、異物混入対策を考える際には、
「設備のどこから異物が発生する可能性があるのか」
を工程全体で見直すことが重要です。
工程全体を見直そうとして悩む獣
実際にあったご相談
ある企業様のお話です。
その企業様では、食品を搬送する工程で樹脂ベルトを使用していました。
搬送する食品の性質上、ベルト表面に付着物が残りやすく、
その付着物を取り除くため、コンベヤにスクレーパーを取り付けて使用していたそうです。
ここでいうスクレーパーとは、物体の表面に付着した汚れを効率的に剥がすための部材のことですね。
スクレーパー付きの搬送用樹脂ベルトのイメージ
ところが、その企業様に別の問題が浮上します。
スクレーパーが樹脂ベルト表面に接触することで、
樹脂ベルトを削ってしまう
というトラブルが起きたのです。
そこで、そのお客様から
「樹脂ベルトからスチールベルトに変更できないか?」
というお問い合わせをいただきました。
削れた樹脂が食品の中に入ってしまっては大変ですからね。
スクレーパーの刃があたり削られてしまった樹脂ベルトのイメージ
なぜスチールベルトが選ばれたのか?
スチールベルトは、主に金属材料であるステンレスを使用したベルトです。
樹脂ベルトやゴムベルトとは異なる特性を持っており、
使用条件にもよりますが、スチールベルトはスクレーパーを使用する工程と相性が良い場合があります。
下記はスチールベルトの特徴です。
- 表面が平滑で、付着物をかき取りやすい
- 金属製のため、耐摩耗性に優れる
- 洗浄しやすく、清潔な状態を保ちやすい
- 耐熱性が高く、高温工程にも対応しやすい
- 樹脂やゴムのような剥離リスクを抑えやすい
搬送用スチールベルトのイメージ
その企業様に実際の使用条件を確認したうえで改めてスチールベルトをご提案したところ、
最終的にご注文をいただくことができました。
嬉しいことに、納めたスチールベルトは10年以上問題なく稼働しているとのことです。
この事例は、
「異物混入対策として搬送ベルトの材質を見直す」
という考え方が採用につながったケースだと感じています。
樹脂ベルトが悪いという話ではありません
この記事はもちろん樹脂ベルトを否定するものではありません。
樹脂ベルトには樹脂ベルトの良さがあり、スチールベルトよりも適した使用環境はたくさんあります。
軽く、扱いやすく、加工しやすく、交換もしやすい。
価格面でも導入しやすく、多くの製造現場で活躍しています。
大切なのは、 「どのベルトが優れているか」 ではなく、 「その工程にどのベルトが合っているか」 です。
| 項目 | 樹脂ベルト | スチールベルト |
|---|---|---|
| 扱いやすさ | 軽量で扱いやすい、コンパクト | 金属製のため条件に応じた設計が必要 |
| 摩耗対策 | 条件によって摩耗・削れが発生する可能性がある | 耐摩耗性を求める工程で選択肢になる |
| 清掃性 | 材質や表面状態による | 平滑面により洗浄しやすい場合がある |
| 耐熱性 | 材質により制限がある | 高温工程に対応しやすい |
異物混入対策として搬送ベルトを見直す
異物混入対策は、一つの設備や一つの方法だけで完結するものではありません。
作業ルール、清掃、点検、設備保全、検査装置、原材料管理。
それらを組み合わせて、リスクを少しずつ下げていくものです。
その中で、搬送ベルトは意外と見落とされやすいポイントなんですね。
下記の様な状況であれば、異物混入対策としてスチールベルトを検討してみるのも良いかもしれません。
- 搬送物がベルトに付着しやすい
- スクレーパーで付着物をかき取っている
- ベルト表面の摩耗が気になる
- 洗浄しやすい搬送ベルトを探している
- 耐熱性や清浄性が求められる
- 樹脂片やゴム片の混入リスクを見直したい
よくある質問
Q. スクレーパーで搬送ベルトは削られますか?
先ほど例を示した通り使用条件によっては削られる可能性があります。
スクレーパーの材質、押し付け荷重、接触角度、搬送物の性質、使用時間などによって、
ベルト表面が削られる可能性が出てきます。
Q. スチールベルトは異物混入対策になりますか?
「スチールベルトを使えば異物混入がゼロになる!やったぜ!」という訳ではありません。
ただし、摩耗粉や剥離を抑えたい工程、洗浄性を高めたい工程、
スクレーパーを使用する工程では、異物混入リスク低減に貢献できる可能性があります。
Q. 食品工場でもスチールベルトは使われていますか?
食品搬送、加熱、冷却、乾燥、シール、洗浄性が求められる工程などで、 スチールベルトが採用されています。
まとめ
はい、ということで“まとめ”に入りたいと思います。
異物混入対策というと、検査装置や作業ルールに目が向きがちです。
しかし、異物を発生させないという視点では、
搬送ベルトの材質選定も重要なポイントになります。
スクレーパーを使う工程、付着物が多い工程、洗浄性や耐摩耗性が求められる工程では、
スチールベルトという選択肢が有効になる場合があります。
異物混入対策を考える際は、検査装置だけでなく、
搬送ベルトそのもの
にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう!ではでは!
スチールベルトコンベヤの上で燥ぐ水棲生物