アクチュエーターの開口部カバーに
なぜステンレスベルトが使われるのか?
カバー用ステンレスベルトが使われている
アクチュエーター
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こんにちは。
スチールベルトのディムコ マーケティング営業部の小鳥遊です。
突然ですが皆さん、「アクチュエーター」ってご存じですか?
技術者の方々からは「舐めんな」という声が上がりそうですが、つい最近までの僕のようにアクチュエーターの存在を全く知らずに人生を歩んできた人も多いと思います。
某国営放送の某チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ」と怒られてしまいそうですが、アクチュエーターは現代文明を支える上でとても重要な装置なんです。
ゴムシートのカットに使われる電動アクチュエーター
アクチュエーターというのは「電気や空気、油などのエネルギーを使って、実際に“動き”を作る部品」のことを言い、様々な機械に用いられています。
「機械の筋肉」とも呼ばれるくらい工業界では重要な地位を築き上げているアクチュエーター先輩ですが、上の画像のようにゴムシートをカットする機械に組み込まれたり、下の画像のように商品を整列させるために使われたりと、その用途は多岐に亘ります。
ちなみに、みんな大好き自動ドアもアクチュエーターが使われている機械設備の一例だったりします。
コーヒー牛乳のパックを整列させる電動アクチュエーター
そして実は、そんなアクチュエーターに我が社のメインプロダクトである「スチールベルト」、つまり「ステンレスベルト」が使われているのですが、今日のブログではそんなお話をしていきたいと思います。
アクチュエーターに使われるステンレスベルト
ステンレスベルトのカバーが付けられたアクチュエーター
アクチュエーターの中にはリニアガイドやボールねじといった方法で直線運動をするタイプがあるのですが、そんなリニアガイドの摺動部やボールねじの駆動部では、塵などの小さいゴミの侵入や油脂飛散などが発生すると大きな問題となります。
それらを防ぐ目的としてステンレスベルトのカバーが役に立つのです。
※摺動…機械の部品同士が接触した状態で互いにこすり合いながら滑るように動くこと
アクチュエーターにはボールがいっぱい?
リニアガイド方式やボールねじ方式は下の画像をご覧いただければ分かる通り、直線運動を行うためにたくさんのボール(鋼球)を必要とします。
内部でこのボールが溝に沿って転がることで摩擦を大幅に減らし、滑らかで高精度な直線運動を可能にしているのです。
内部でこんなにもたくさんのボールが転がっていたなんて驚きですよね。
僕も初めて知った時は驚きで大好きなカレーが喉を通らなくなりました。
リニアガイド方式の電動アクチュエーター
内部構造 ボールが円滑な滑りを実現させる
ボールねじ内部構造 名に違わずたくさんのボールが循環している
しかし、このボールの転がりも内部に小さなゴミが入ってしまうと円滑に動かなくなります。
また内部にはボールを円滑に動かすために油脂(グリスやオイル)が使われているのですが、これが外部に飛び散ると自身だけに留まらず周辺機器にまで影響を及ぼします。
これらの問題を防ぐために薄いステンレス製のカバーが使われることがあるのです。
リニアバンド? ステンレスシート?
ディムコでは、こうした直動機構向けの精密ステンレスベルトのカバーを「リニアバンド」と呼んでいます。
ただ「スチールベルト」然り、この製品も利用する企業や人により呼び方は様々で、「ステンレスカバー」、「ステンレスシート」、「金属カバー」と呼ばれることがあります。
ディムコが製作したリニアバンドのリーフレット上部
アクチュエーター開口部カバーに求められる役割
- リニアガイドやボールねじ部への粉塵侵入を抑える
- 油脂飛散を抑える
- 摺動部や駆動部を保護する
- 長いストロークでも安定して追従する
- 装置の外観品質を保つ
しかしアクチュエーターの開口部カバーは、ただ塞げば良いというものではありません。
スライダーの動きに追従しながら、隙間を抑え、片当たりを防ぎ、長期間安定して使えることが求められます。
そのために重要になるのが、ステンレスベルトの真直度です。
隙間・片当たりを防ぐ
真直度とキャンバー管理
真直度とは?
真直度とは、簡単に言えばステンレスベルトがどれだけ真っ直ぐかを示す品質です。
アクチュエーターの開口部カバーとして使う場合、
ベルトに横曲がりがあると開口部に対してきれいに沿わなくなります。
その結果、隙間、片当たり、摩耗、異音などの問題を引き起こす可能性が高まるのです。
キャンバーとは? ステンレスベルトの横曲がり
真直度を考えるうえで重要になるのが「キャンバー」です。
キャンバーとは、ステンレスベルトを平面に置いたときに、長手方向に対して横方向へどれだけ曲がっているかを表すものです。
上にも書きましたが「横曲がり」のことですね。
ちょっと小さく見にくいので申し訳ないんですが、下の画像のオレンジ色で書かれた文字「h」がキャンバー(横曲がり)を示しています。
キャンバー(h)が大きいとカバーには向きません
JIS規格よりも厳しい基準で管理
スチールベルトのような鋼帯には横曲がりに関するJIS規格(4mm/2m)があります。
しかし、アクチュエーターの開口部カバー用途では
JIS規格を満たしているだけでは十分でない場合があります
。
なぜなら、わずかな横曲がりでも開口部の隙間、片当たり、摺動抵抗、摩耗に影響する可能性があるからです。
ディムコでは、リニアバンド(ステンレスベルトカバー)に対してJIS規格よりも遥かに厳しい社内基準を設け、真直度に優れたステンレスベルトを製作しています。
材料選定の段階から厳しくチェック
真直度は加工だけで決まるものではありません。
素材そのものの状態、板厚、幅、硬さ、バネ性、残留応力なども関係します。
そのためディムコでは材料選定の段階から厳しくチェックを行い、真直性や平坦性、また相性を確認し、
アクチュエーター用途に適したステンレスベルトを提案しています。
残留応力…外部から力を加えていない状態でも材料内部に残っている応力
ステンレスベルトを厳しくチェックするディムコの社員
ディムコのステンレスベルトが
選ばれる理由
「JIS規格よりも厳しい基準を設けている」、「材料の選定の段階から厳しいチェックをしている」とディムコの強みを露骨に主張してきましたが、主張したい強みはこれだけではありません。
下記に強みと呼べるディムコのリニアバンドが「お客様から信頼される理由」を下記にズラっと並べてみました。
平坦度:摺動性とカバー性を支える
真直度と同じく重要なのが平坦度です。
波打ちやねじれがあると、摺動抵抗が増えたり開口部への沿い方に影響する可能性があります。
ディムコでは、レベリング加工や張力を考慮した熱処理により平坦性にも配慮したリニアバンドを製作しています。
※レベリング加工…金属板やコイル材の反り、曲がり、巻きぐせなどの「歪み」を矯正し、平坦な状態にする加工技術
バネ性:長いストロークにも追従するしなやかさ
アクチュエーター用のステンレスベルトには、薄さだけでなく「しなやかさ」と「耐久性」が求められます。
リニアバンドは繰り返し曲げられるため、高い弾性、バネ限界値、疲労強度が重要になります。
ディムコでは、繰り返し動作に耐える高張力ステンレス材を選定しています。
エッジ処理:寿命を左右する端面品質
ステンレスベルトのエッジは非常にデリケートな部分であり、エッヂの状態はベルトの寿命に大きく影響します。
ディムコの技術は緻密な精度管理がエッヂにまで及ぶので高寿命です。
必要に応じてラウンドエッジに追加工が可能であり、要求に応じた最適な製品を提供できます。
使いやすさ:試作から量産まで対応
ディムコでは、豊富な鋼種や厚みの材料をコイル状態で在庫しています。
板厚、幅、長さ、コイルサイズ、重量などお客様の納入仕様に合わせた対応が可能であり短納期です。
実話:一度離れたお客様が再びディムコに戻ってきた
過去には、コストや調達の都合から一度ディムコ以外のステンレスベルトに切り替えられたお客様がいらっしゃいましたが、開口部カバーの沿い方や真直度に問題が発生してしまったらしく、最終的に「やはりディムコのベルトに戻したい」とご相談を受けたことがあります。
そして実際にそのお客様はディムコへの注文に戻してくれました。HAPPY!!
まとめ
- ディムコでは、アクチュエーター用の精密ステンレスベルトを「リニアバンド」と呼んでいる
- 外部ではステンレスカバー、ステンレスシート、金属カバーなどと呼ばれることもある
- 開口部カバー用途では、防塵や油脂飛散防止が重要
- 真直度が悪いと、隙間、片当たり、摩耗、異音につながる可能性がある
- キャンバーはステンレスベルトの横曲がりを表す指標
- ディムコではJIS規格よりも厳しい社内基準で真直度を管理している
- 材料選定、平坦度、バネ性、エッジ処理、使いやすさまで含めて品質を作り込んでいる