静電気トラブルを防ぐ 帯電しにくいスチールベルト
(ステンレスベルト)の強み
こんにちは。
スチールベルトのディムコ マーケティング営業部の小鳥遊です。
本日はスチールベルトの強みの一つである「帯電しにくい」という特徴について喋り倒していきたいと思います。
スチベル君が帯電しないので泣き出す電荷ボーイ
さて、ベルトコンベヤがある製造現場で意外と起きる厄介な問題が静電気トラブルです。
今このブログを読んでいる方の中にも、そのトラブルを思い出して苦虫を噛み潰したような顔になっている方もいらっしゃるんではないでしょうか?
そう、静電気が原因で起きる問題は結構あるんですよね。
フィルムがベルトに貼り付いたり、粉塵が付着したり、ワークがうまく搬送できなかったり、場合によってはセンサーの誤作動や放電トラブルに繋がることもあります。
そこで今回は、スチールベルト、つまりステンレスベルトが「なぜ帯電しにくいのか?」について、できるだけ分かりやすくご紹介していきたいと思います。
そもそも静電気とは?
ではまず静電気についてお話ししておきましょう。
静電気とは、簡単に言うと電荷が物体に溜まることで起きる電気現象のことです。
電荷は物体が帯びている電気の量のことをいうのですが、この電荷が溜まった状態を「帯電」といいます。
冬場にドアノブを触ったときに「バチッ」となることがありますよね?
あの少し痛くてムカつくアレです。
あの現象は、例えば衣服同士の擦れなどによって人の体に溜まった電荷が金属のドアノブへ一気に流れることで起きています。
この電荷の移動を放電と呼びます。
あ、そうそう!
この現象、ドアノブに溜まった電荷に触れて「バチッ」っとなっていると勘違いしている方がいるんですが、実は電荷が溜まっているのは人間の方なんですよね。
これ知らなかった人多いんじゃないでしょうか?
覚えておいてください。
貯金は貯まらないのに電荷が溜まる生き物を人間と呼びます。
体に電荷が溜まっていた新入社員
仕事中、トイレに行きたくなって席を立ちますよね?
また暑かったり寒かったりで上着を脱いだり着たり、紙の資料を読むために捲ったり。
あるいは山崎部長に頼まれてコピーを取りに行ったり、聞きたいことがあって重松先輩のところまで聞きに行ったり。
そんな一挙手一投足で僕らの体にはどんどん電荷が溜まっていき周囲との電位差が大きくなります。
そして人体とドアノブの間に大きな電位差がある状態で触れると、溜まっていた電荷が一気に移動し「バチッ!!」という放電が起きる訳です。
静電気の問題は単に「電気がある」ということではなく、電荷が溜まり、どこかで急に放電してしまうことにあるんですね。
電荷が溜まるのでコピーを断る新入社員
たまに人間同士で触れ合っても「ビリッ」っとくることがありますが、あれは人間同士でも電位差があるので放電が起きているということです。
ちなみに鳥が電線に止まっても感電しないのは鳥の両足が同じ電位だからですね。
電位差がなければ電荷の移動、つまり放電が起きないので彼らは今日ものうのうと電線にとまり続けているのです。
ただ、電位差のある2本の電線に体が触れていたりすると感電しますけどね。
両足に電位差が無いので感電しないカラス
歩くだけでも電荷が溜まっていくとお話ししましたが、動作による帯電で言えば、ベルトコンベヤでも同じことが起きます。
ベルトとワーク、ベルトとローラー、フィルムと搬送面などが接触し、そこから離れるときに電子の移動が起こります。
この接触と剥離の繰り返しによって、ベルトやワークに電荷が溜まっていきます。
これが、ベルトコンベヤにおける帯電の主な原因です。
なぜステンレスベルトは帯電しにくいのか?
ステンレスベルトが帯電しにくい理由は、非常にシンプルです。
それは、ステンレスが金属であり、電気を流す性質を持っているからです。
摩擦や接触・剥離によって電荷が発生しても、ステンレスベルトであれば、その電荷がベルト表面に留まりにくくなります。
発生した電荷は、ベルトからローラー、フレーム、そしてアースへと逃げていくことができます。
一方で、一般的な樹脂ベルトやゴムベルトは電気を通しにくい材料です。
そのため、発生した電荷が逃げにくく、ベルト表面に残りやすくなります。
つまり、ステンレスベルトと樹脂ベルトやゴムベルトの大きな違いは、発生した電荷を逃がせるかどうかにあります。
帯電しやすい樹脂ベルトの上で寛ぐ電荷ボーイ
帯電すると何が問題なのか?
静電気は、ただ「バチッ」とするだけが問題ではありません。
製造現場では、品質・安全・生産性に大きな影響を与えることがあります。
例えば…
- フィルムや薄物ワークがベルトに貼り付く
- ワークが剥がれにくくなり、搬送ズレや重送が発生する
- 粉塵や異物を引き寄せ、品質不良につながる
- センサーや検査装置が誤作動することがある
- 電子部品ではESD、つまり静電気放電による破損リスクがある
- 溶剤や粉体を扱う工程では、火花放電が安全上のリスクになる
※重送 … 2枚以上重なったままの状態で搬送されてしまう現象
※静電気放電 … 物体に溜まった静電気が、他の導体や人体に触れたり近接したりした際に、一瞬で移動・放出される現象
※火花放電 … 高い電圧によって空気などの絶縁体が破壊され、電極間で一瞬だけ大電流が流れ、激しい光と音を伴う放電現象
と、このような問題が起こり得ます。
特にフィルムやシートのような薄い製品は、静電気によってベルトに貼り付いたり搬送姿勢が乱れたりします。
また、電子部品や半導体のように静電気に弱い製品では、人が感じないほど小さな放電でも不良につながる可能性があります。
そのため、搬送設備における静電気対策は、単なる快適性の問題ではなく、品質安定と安全性に関わる重要なポイントになる訳です。
帯電するベルトコンベヤに悩む従業員
ステンレスベルトコンベヤが向いている業界
帯電しにくいステンレスベルトコンベヤは、静電気トラブルを避けたい現場に適しています。
特に以下のような業界ではステンレスベルトの特性が活かされますし、実際、既に使われています。
- フィルム・シート業界:貼り付きや蛇行、異物付着を抑えたい工程
- 電子部品・半導体業界:ESD(静電気放電)対策が必要な搬送工程
- リチウムイオン電池業界:電極材、セパレーター、箔材などの搬送工程
- 印刷・塗工業界:粉塵付着や塗工不良を抑えたい工程
- 粉体・化学業界:粉塵付着や放電リスクを低減したい工程
- 食品・医薬品業界:清掃性や異物対策も重視される工程
ステンレスベルトがお勧めされる搬送品一覧
ステンレスベルトは「静電気を発生させない」のではなく「溜めにくい」
ここで大切なのは「ステンレスベルトだから静電気が一切発生しない」というわけではないということです。
ベルトとワークが接触・剥離すれば、電荷そのものは発生します。
しかし、ステンレスベルトは導電性があるため、発生した電荷をベルト上に溜め込みにくいのです。
つまりステンレスベルトの強みは、静電気を発生させないことではなく、発生した電荷を逃がしやすいことにあります。
ただし、ステンレスベルトを使用する場合でも、アース経路がしっかり確保されていることが重要です。
ベルト、ローラー、フレーム、アースが適切につながっていなければ、電荷の逃げ道が不十分になる可能性があります。
ステンレスベルトの特性により地面に吸い込まれる電荷ボーイ
コンベヤだけじゃないステンレスベルトの使い道
静電気対策としてステンレスベルトが導入されるのは何もコンベヤだけではありません。
半導体産業で活躍するロボットアーム機やFA(Factory Automation)化で普及著しい自動昇降マシンなど、たくさんの機械、装置にステンレスベルトが選ばれるようになってきました。
もちろん「帯電しにくい」という特徴以外で選ばれている場合も多々ありますけどね!
昇降機の昇降用ステンレスベルト
ロボットアーム機の駆動用ステンレスベルト
アクチュエーターのカバー用ステンレスベルト
まとめ
今回お話しした内容をまとめるとこんな感じになります。
- 静電気は、電荷が物体に溜まった状態
- ベルトコンベヤでは、接触と剥離によって帯電が発生しやすい
- ステンレスベルトは導電性があるため、電荷を逃がしやすい
- 樹脂ベルトやゴムベルトは電荷が残りやすく、帯電トラブルにつながりやすい
- 帯電は貼り付き、粉塵付着、センサー誤作動、ESD破壊、放電リスクの原因になる
- ステンレスベルトはフィルム、電子部品、電池、印刷、粉体、食品・医薬品などの業界に向いている
- ベルトコンベヤ以外でも静電気対策としてステンレスベルトが選ばれている
スチールベルト、つまりステンレスベルトが選ばれる理由の一つは、帯電しにくい搬送や駆動ができることです。
静電気トラブルは目に見えにくいものですが、製品品質や生産安定性に大きく影響します。
「ワークが貼り付く」
「粉塵が付着する」
「静電気による不良を減らしたい」
そんな課題がある場合、ステンレスベルトは有効な選択肢の一つです。
搬送物や使用環境によって最適な仕様は異なりますので、静電気対策でお困りであればぜひ一度ディムコへご相談ください。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次のブログでお会いしましょう!